新疆の少数民族文化とパミール高原の自然
今回は私が「新疆の少数民族文化とパミール高原の自然」についてご紹介したいと思います。敦煌からカシュガルへと続く9日間の「シルクロード・エクスプレス」の旅は、まるで時空を超えたかのような不思議な体験を紹介します。
カシュガルで触れたウイグル文化の魅力
まず訪れるのはカシュガル旧市街です。迷路のような路地には日干しレンガの家々が立ち並び、バザールでは色とりどりのスパイスや絨毯、民族楽器などが所狭しと並べられています。人々の活気にあふれた日常の風景は、数百年もの間、変わらず続いてきたのだろうなと感じさせられます。特に印象的だったのは、伝統的な高台のガオタイ民居での非遺文化体験です。地元の職人さんからウイグル族の伝統的な型染め「カシュガルプリント」や陶芸を教えていただき、千年以上も受け継がれてきた匠の技に直接触れることができます。お茶とお菓子をいただきながらのんびりと過ごす時間は、旅の疲れを癒してくれます。
夜は世界無形文化遺産に登録されている「ムカム」の晚餐会へ行きます。ムカムはウイグル族の伝統的な音楽で、歌と踊りが一体化した総合芸術です。迫力ある演奏と優美なダンスに、思わず引き込まれてしまいます。料理も羊肉の串焼きやピラフ、ナンなど本場の味ばかりで、五感すべてで新疆の文化を味わった気がします。
パミール高原での大自然とタジク族の人々との交流
カシュガルから車でパミール高原へ向かう道中は、まさに絶景の連続です。高度3000メートルを超える大地に広がるのは、息をのむような雄大な景色です。
まず訪れるのは「白沙湖」です。真っ白な砂山とエメラルドグリーンの湖のコントラストは、この世のものとは思えない美しさです。湖面に映る雪山の姿は神秘的で、しばらく見とれてしまいます。さらに奥へ進むと、「カラクリ湖」が現れます。ここでは「氷河の父」と呼ばれるムズタグアタ峰が眼前にそびえ立ち、その圧倒的な存在感に言葉を失います。湖辺でいただいたコーヒーは、高原の清らかな空気の中で格別な味わいです。
パミール高原に古くから住むタジク族は、鷹のように鋭い目を持つことで知られる民族です。彼らの家庭では、手作りのヨーグルトやチャイでもてなしていただき、遊牧生活の話などを聞かせていただきます。飾り気のない温かいもてなしと、厳しい自然と共存する知恵と勤勉さに、深く感動できます。言葉はほとんど通じなくても、笑顔とジェスチャーで通じ合えることがわかり、素敵な交流となります。
今回の旅では、シルクロード・エクスプレスという豪華列車に泊まりながら移動して、車窓から変わりゆく風景を楽しむこともできます。敦煌の莫高窟やゴルムドのチャハン塩湖など見所はたくさんありますが、やはり新疆独自の少数民族文化とパミール高原の大自然は特別です。