2025.12.29

日の出から星空まで、フルンベルの草原全体を独占する

中国・内モンゴル自治区の北東部に広がるフルンベル大草原。「世界で最も美しい草原」と謳われるこの場所には、見渡す限りの緑と、手が届きそうなほど近い空が存在する。都会の喧騒を離れ、ただ大自然のリズムに身を委ねる時間。ここでは、朝露がきらめく夜明けから、満天の星が降り注ぐ深夜まで、刻一刻と表情を変える絶景を誰にも邪魔されずに堪能することができる。

朝霧が晴れ、黄金色に輝く大地

フルンベルの朝は、静寂とともに訪れる。東の地平線が白み始めると、草原を覆っていた幻想的な朝霧がゆっくりと晴れていく。ひんやりとした清浄な空気の中、太陽が顔を出すと、草葉に宿った朝露が光を受け、まるで無数の宝石のように輝き出す。視界を遮るものは何ひとつない。目覚めたばかりの広大な大地と向き合うその瞬間、世界はただ静かで、美しい。

「天下第一の曲水」と緑の絨毯

太陽が高く昇れば、そこには鮮やかな緑の絨毯が広がっている。風が吹くたびに草原が波打ち、その中を羊や牛、馬の群れがのんびりと草を食む姿は、まるで動く絵画のようだ。 この地を訪れたなら見逃せないのが、草原を蛇行して流れるモルゲレ川である。「天下第一の曲水」と称されるその姿は、大地のキャンバスに描かれた優美なリボンのよう。小高い丘の上からその全貌を見下ろせば、人工物が一切ない大自然のスケールに、ただ圧倒されることだろう。

遊牧民の暮らしとパオでのひととき

草原に点在する白いモンゴルゲルは、フルンベルの象徴的な風景の一つだ。古くからこの地で暮らす遊牧民の知恵が詰まった伝統住居であり、現在は旅行者が宿泊できる施設も充実している。 昼下がりには乗馬やアーチェリーに興じ、かつて草原を駆け抜けた人々の誇り高い文化に触れてみるのも一興だ。風の音と鳥のさえずりだけがBGMとなる空間で過ごす時間は、現代人にとって何よりの贅沢な癒やしとなる。

頭上に広がる宇宙、満天の星との対話

夕日が地平線に沈み、空と大地が茜色から深い群青色へと染まると、いよいよ夜の帳が下りる。街灯などの人工の光が届かないこの場所では、見上げれば息をのむような満天の星空が広がっている。 天の川が夜空を横切り、一つひとつの星が驚くほど近くに感じられる。パオの傍らで焚き火を囲み、温かい飲み物を片手に夜空を見上げる。静寂に包まれた草原の夜、宇宙と一体になるような神秘的な体験は、旅の記憶として深く心に刻まれるに違いない。

フルンベル大草原への旅。それは単なる観光ではなく、日の出の神々しさ、大地の生命力、そして星空の静寂を通じて、地球そのものの鼓動を感じる体験だ。千里の道を越えてでも訪れる価値のある、魂を揺さぶる感動がここには待っている。

現代の旅の選択〉——フルンベル号で出会う、草原の本質

このようなフルンベルの草原体験を、移動の負担なく、静かに味わいたい旅人に向けて、**星享鉄旅(Glamour Trains)旗下の〈フルンベル号〉**は、草原の時間軸に寄り添う列車旅を提案している。

列車は単なる移動手段ではなく、草原へと向かう“動く滞在空間”だ。広い車窓からは、都市の景色が徐々に姿を消し、やがて地平線まで続く緑の世界が広がっていく。現地では、草原の美しい風景を眺めながら、遊牧文化に触れる体験が組み込まれており、日の出から星空まで、草原本来のリズムに身を委ねる時間が用意されている。

慌ただしく名所を巡るのではなく、自然の変化を“待つ”ことを許してくれる旅。フルンベル号は、草原を消費するのではなく、静かに共有するための、現代的なアプローチと言えるだろう。