観光列車とは?日本で人気の理由・種類・選び方をわかりやすく解説
近年、テレビやSNSを通じて「観光列車」という言葉が注目されるようになりました。列車はかつて、A地点からB地点へ人を運ぶための存在でしたが、近年は移動の過程そのものに価値を見出す旅のスタイルが生まれています。車窓に広がる風景、車内で過ごす時間、そこで出会う文化や物語——それらすべてが、旅の体験を形づくる重要な要素となっているのです。
本記事では、「観光列車とは何か?」という基本的な定義から、なぜ日本でこれほど人気なのか、そして代表的な列車の種類や向いている人の特徴までをまとめて解説します。これから列車の旅を始めてみたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
観光列車とは?普通の列車との違い
まず、「観光列車」とはどのような乗り物を指すのでしょうか。 一般的な通勤列車や、速達性を重視する特急列車との大きな違いは、その「目的」にあります。
観光列車の特徴は以下の3つです。
車内デザイン:木材を多用したレトロな内装や、ホテルのような豪華な空間など、非日常感が演出されています。
沿途風景:景色の良い場所であえて速度を落としたり、窓が大きく設計されていたりと、眺望を楽しむ工夫がされていま。
地方文化と餐食:その土地ならではの食材を使った料理や駅弁が提供され、車内で地域の文化を体験できます。
日本では、単に移動するだけでなく、こうした付加価値を備えた列車を総称して「観光列車」と呼んでおり、一つの確立されたジャンルとなっています。
なぜ日本では観光列車が人気なのか
世界的に見ても、日本は観光列車の種類が非常に豊富です。なぜこれほど人気が集まっているのでしょうか。
第一に、日本は鉄道網が非常に発達しており、美しい自然の中を走る地方路線(ローカル線)が数多く存在することが挙げられます 。 地方自治体や鉄道会社が、過疎化する地方路線の活性化と観光を結びつける手段として、魅力的な列車を走らせるケースが増えました。
また、旅行者の意識の変化も影響しています。「新幹線でいかに早く到着するか」という効率優先の旅に対し、あえて時間をかけてプロセスそのものを楽しむ「スローな旅」を求める層が増えてきました。移動時間も思い出にしたいというニーズと、観光列車の特性がマッチしているのです。
日本の代表的な観光列車一覧
日本国内には数多くの観光列車が走っていますが、ここでは特に知名度が高く、それぞれのスタイルを象徴する代表的な列車を紹介します。
ななつ星 in 九州
運行エリア:九州全域
主な特徴:日本初の本格的なクルーズトレイン。「走る美術館」とも称される豪華な内装と、九州の美食・温泉を巡る旅が特徴です。
TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)
運行エリア:西日本(京阪神〜山陰・山陽エリア)
主な特徴:「美しい日本をホテルが走る」をコンセプトに、アール・デコ調の車両から西日本の絶景を楽しめます。
TRAIN SUITE 四季島(しきしま)
運行エリア:東日本・北海道
主な特徴:近未来的なデザインの展望車や、東日本の旬の素材を使用した料理が魅力の高級クルーズトレインです。
伊予灘ものがたり
運行エリア:四国(愛媛県)
主な特徴:夕日が美しい伊予灘の海岸線を走り、地元の食材を使った食事と心温まるアテンダントのおもてなしが人気です。
リゾートしらかみ
運行エリア:東北(五能線)
主な特徴:日本海と白神山地の絶景を望む、「乗ること」を目的に訪れる人が多いリゾート列車の先駆け的存在です。
COTO COTO TRAIN(コトコトトレイン)
運行エリア:九州(福岡県・平成筑豊鉄道)
主な特徴:のどかな田園風景の中をゆっくりと走りながら、本格的なフレンチコース料理を楽しめるレストラン列車です。
観光列車の種類と価格帯の目安
観光列車は、大きく分けて「日帰り型」と「宿泊型(クルーズトレイン)」の2種類があります。
日帰り型観光列車 数千円〜数万円程度で乗車可能です。食事付きプランや座席指定券のみのプランなどがあり、手軽に楽しめるのが特徴です。
1泊以上のクルーズトレイン 数十万円〜百万円を超える価格帯となります。列車内で宿泊し、食事や観光ガイドもすべて含まれる「オールインクルーシブ」形式が一般的です。
観光列車は一般的な移動に比べて割高に感じるかもしれませんが、「移動+食事+エンターテインメント」がセットになった体験価値への対価であり、単なる運賃とは考え方が異なります。
観光列車はどんな人に向いている?
観光列車という旅のスタイルは、以下のような方に特におすすめです。
移動時間も旅として楽しみたい人:目的地に着くまでの時間も無駄にせず、思い出の一部にしたい方。
ゆっくり景色を味わいたい人:車窓を流れる風景を眺めながら、のんびりと過ごすのが好きな方。
飛行機や長距離移動が苦手な人:狭い座席で長時間拘束されるのが苦手で、足を伸ばしてリラックスしたい方。
観光地を「点」ではなく「流れ」で楽しみたい人:特定のスポットだけでなく、その土地の空気感や変化を連続的に感じたい方。
日本の観光列車と海外の観光列車の違い
近年では、日本国外でも長距離移動と体験を組み合わせた観光列車が注目を集めています。
同じ「観光列車」であっても、日本と海外では、その設計思想や旅のスケールに明確な違いが見られます。
日本の観光列車
行程: 比較的短距離・短時間の運行が中心。日帰りや1泊程度のプランが多く見られます。
特徴: 限られた座席数の中で、沿線食材を活かした食事、地域文化を感じられる演出、きめ細やかなおもてなしなど、凝縮された体験価値が重視されています。
海外の観光列車(ヨーロッパ・中国など)
行程: 広大な国土を活かした長距離・長期間の行程が一般的で、数日から1週間以上に及ぶ旅も珍しくありません。
特徴: 「移動・宿泊・食事・観光体験」が一体化した設計が特徴で、列車そのものが滞在空間となる“走るホテル”として位置づけられています。
ヨーロッパでは、Venice Simplon-Orient-Express や Belmond Royal Scotsman など、クラシックな雰囲気と高級サービスを兼ね備えたクルーズトレインが人気を集めています。
一方、中国・シルクロード沿線では、砂漠やオアシス、歴史都市を巡る長距離ルートを舞台にした、滞在型の観光列車旅が発展しています。
その代表例のひとつが、「星享鉄旅(Train of Glamour)」が運行・提供するラグジュアリー観光列車、**「シルクロード夢享号(Silk Road Express)」**です。
列車内で宿泊しながら複数の都市や遺跡を巡る構成は、日本の観光列車とは異なる「旅の深度」を体験できるスタイルとして注目されています。海外旅行を検討する際には、日本国内の観光列車に加え、こうした長距離・深度体験型の観光列車を選択肢に入れてみるのも、新しい旅の楽しみ方と言えるでしょう。
観光列車を選ぶ際の注意点
実際に観光列車を予約する際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
予約の難易度:人気の列車は発売開始直後に売り切れることも珍しくありません。早めの計画が必要です。
季節による違い:同じ路線でも、桜の時期、紅葉の時期、雪景色など、季節によって見える景色が全く異なります。
自分のペースに合うか:食事の内容やアレルギー対応、車内での過ごし方が自分の旅行スタイルに合っているか確認しましょう。
旅の目的との合致:初めてその土地を訪れるのか、リピーターとして深く知りたいのかによっても、選ぶべき列車は変わります。
まとめ:観光列車は「移動」ではなく「体験」
観光列車は、A地点からB地点への移動にとどまらず、移動の過程そのものを楽しむ旅の選択肢として注目されています。車内で過ごす時間や風景、体験が、旅の印象を大きく左右するようになってきました。
日本国内のきめ細やかなおもてなしが詰まった列車も、海外の雄大な景色を行く長距離列車も、それぞれに異なる魅力があります。「効率」よりも「体験」を重視したい旅行者にとって、観光列車は非常に満足度の高い選択肢となるはずです。
次のご旅行では、飛行機やレンタカーだけでなく、「観光列車」という選択肢を加えて、視野を広げてみてはいかがでしょうか。
日本国外で広がる、新しい観光列車のかたち
近年では、日本国内にとどまらず、海外でも「移動そのものを体験として楽しむ」観光列車が注目されています。
特に中国・シルクロード沿線では、長距離移動・宿泊・食事・文化体験を一体化した、滞在型の列車旅が展開されています。
その代表例のひとつが、シルクロードを走るラグジュアリー観光列車
「シルクロード夢享号(Silk Road Dream Express)」 です。
数日間にわたり列車内で宿泊しながら、砂漠、オアシス、歴史都市を巡る構成は、日本の観光列車とは異なる体験設計となっています。
このように、観光列車の魅力は日本国内だけに限られません。
海外に目を向けることで、「列車が旅の目的になる」新しい鉄道旅行の可能性が広がっています。
FAQ|観光列車に関するよくある質問
Q. 観光列車と寝台列車の違いは?
A.寝台列車は、移動と休息を効率よく行うことを基本に設計された列車です。一方、観光列車は、A地点からB地点への移動に、食事・風景・文化体験といった価値を重ね、移動そのものを旅の楽しみに変えることを目的としています。
近年では、クルーズトレインのように、快適な宿泊機能を備えながら、食・空間演出・文化体験までを含めた体験型の列車も登場しています。
Q.予約はどれくらい前がいい?
A. 列車によって異なります。一般的な観光列車は、乗車日の1か月前から発売されることが多く、人気列車は発売日当日の予約がおすすめです。一方で、「四季島」のような高級列車では、数か月以上前からの予約が必要となる場合があります。
Q.一人旅でも楽しめる?
A.一人でも快適に過ごせるよう、個室タイプの客室を備えた列車サービスもあります。自分だけのプライベート空間で、流れる景色を眺めながら、静かに贅沢な時間を楽しめます。