ウルムチ・国際大バザールで味わうシルクロード・グルメ
ユーラシア大陸の中心に位置し、「海から最も遠い大都市」として知られるウルムチ。中国シルクロードの玄関口であるこの街には、東洋と西洋の文化がダイナミックに交差する圧倒的なエネルギーが満ちている。
その熱気を最もダイレクトに感じられる場所、それが「新疆国際大バザール」だ。イスラム様式の壮麗な建築がそびえ立つ約10万平方メートルの広大な敷地は、まるで映画のセットに迷い込んだかのよう。しかし、ここでの最大の楽しみは景色だけではない。シルクロード旅行の醍醐味を舌で直接味わうことができる、魅力的な「ご当地グルメ」の数々である。
今回は、スパイスの香りと人々の熱気に包まれた巨大市場で絶対に外せない、絶品シルクロード・グルメをご紹介しよう。
煙とクミンの誘惑:豪快すぎる「羊肉串」と「烤全羊」
バザールのフードエリア(美食街)に足を踏み入れると、まず鼻腔をくすぐるのは、炭火の香ばしい煙とスパイシーなクミンの香りだ。
新疆ウイグル自治区観光において、絶対に避けては通れないのが羊肉料理である。その代表格「カワップ」は、日本の焼き鳥とはスケールが違う。鉄の串に刺された大ぶりの羊肉が炭火の上でジュージューと音を立て、脂が落ちるたびに煙が舞い上がる。唐辛子とクミンがたっぷりとまぶされた熱々の肉を頬張れば、羊肉特有の旨味が口いっぱいに広がり、思わず冷たいビールやご当地飲料の「クワス」に手が伸びてしまうはずだ。
さらに視線を移すと、黄金色にこんがりと焼き上げられた羊の丸焼きがドーンと店先に並んでいる光景に出くわす。その圧倒的なビジュアルは、かつて草原を駆け抜けた遊牧民たちの豪快な宴を彷彿とさせ、シルクロード とはこれほどまでに力強い食文化を持っていたのかと驚かされる。
窯焼きの魔法:パリパリ&ジューシーな「サムサ」
歩きながら手軽に食べられるストリートフードとして圧倒的な人気を誇るのが、「サムサ」である。
これは、羊肉のミンチとたっぷりの玉ねぎ、黒胡椒を小麦粉の生地で包み、「タヌール」と呼ばれる特製の土窯の内壁に貼り付けて香ばしく焼き上げた料理だ。焼き立ての熱々を割ると、中からジュワッと肉汁が溢れ出す。外側の生地はパリパリ、内側はもっちりとしており、肉の旨味と玉ねぎの甘みが完璧なハーモニーを奏でる。
この「小麦粉で肉を包んで焼く」という調理法は、まさにシルクロードを通って東西の食文化が融合した証拠である。小腹が空いた時のスナックとして、これ以上のものはないだろう。
大地の恵みを凝縮した黄金のピラフ「ポロ」
しっかりとした食事をとりたいなら、「ポロ」がおすすめだ。
大鍋で作られるこの料理は、羊肉、玉ねぎ、そして新疆特産の黄色いニンジンを、羊の脂と一緒に米と炊き上げたウイグル風のピラフである。見た目はツヤツヤと黄金色に輝いており、非常にゴージャス。羊肉のダシを限界まで吸い込んだお米は、パラパラでありながらもしっとりとした食感を持つ。黄人参の強い甘みがスパイスをまろやかに包み込み、一度食べ始めるとスプーンが止まらなくなる魅惑の炭水化物だ。
砂漠が育んだ極上のスイーツ:ドライフルーツとザクロジュース
スパイスの効いたお肉でお腹がいっぱいになったら、次は甘いものの出番だ。
乾燥した気候と激しい昼夜の寒暖差を持つ新疆の大地は、世界有数のフルーツ王国である。バザール内には、数え切れないほどのドライフルーツ(干しブドウ、イチジク、ナツメ、クルミなど)が山積みになった屋台がどこまでも続いている。試食をさせてもらいながら、お気に入りを探すのもバザールならではの楽しみだ。
また、喉の渇きを潤すなら、その場で絞ってくれるフレッシュな「ザクロジュース」が最高だ。ルビーのように輝く果汁は、酸味と甘みのバランスが絶妙で、砂漠の乾燥した空気の中で飲むと、まさに体に染み渡るような美味しさである。
食べることで歴史を体感する
ウルムチの国際大バザールは、単なる買い物スポットではない。麺や小麦粉を使った東アジアの食文化と、羊肉やスパイス、土窯を使う中央アジア〜中東の食文化が、見事に一つの皿の上で融合している奇跡の場所だ。
シルクロード観光の真髄は、歴史博物館のガラスケースの中だけでなく、人々の胃袋の中に脈々と受け継がれている。バザールの喧騒の中で、熱々の肉をかじり、スパイスの香りに包まれるとき、千年前にこの地を行き交った商人たちと同じ喜びを共有できるはずだ。次の連休は、お腹を極限まで空かせて、アジア最大級の「食のるつぼ」へ飛び込んでみてはいかがだろうか。