2026.04.01

二十四節気「清明」とは|2026年はいつか・七十二候・楽しみ方・「清明節」との違いまで解説

4月になると、カレンダーや天気予報でふと目にする「清明」という言葉。なんとなく気になるけれど、調べたことはない——そんな方も多いのではないでしょうか。

清明(せいめい)は二十四節気のひとつで、春の清らかで生き生きとした様子を表す季節の言葉です。2026年は4月5日がその日にあたります。また「清明」は、中国で古くから続く伝統行事「清明節」とも深いつながりがあります。この記事では、二十四節気としての清明の意味・2026年の日付・七十二候・花や食べ物・沖縄の清明祭などの行事、そして中国の清明節との違いまでをご紹介します。

清明とは?

「清明(せいめい)」は、「清浄明潔(せいじょうめいけつ)」を略した言葉です。空気が澄みわたり、草木が芽吹き、やわらかな春風と明るい日差しの中で万物が輝き始める——そんな、春らしさがはっきりしてくる頃合いを指します。

冬の閉じこもった空気とは違い、大地が息を吹き返してあらゆるものが動き出す季節です。空は青く澄み、野山は淡い緑に包まれ、花の香りが風に乗って漂ってくる。清明という言葉には、そうした春の生命力がぎゅっと詰まっています。

なお、「晴明」も同じ「せいめい」と読みますが、二十四節気の「清明」とは字も意味も別の言葉です。安倍晴明の名前でも知られるこの字と混同しないよう注意しましょう。

2026年の清明はいつ?

2026年の清明は4月5日(日)です。国立天文台の暦要項によると、2026年4月5日の03:40がその時点とされています。期間としては、次の節気・穀雨が始まる4月19日ごろまでが清明の時期にあたります。

二十四節気の春の並びは立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨の順で、清明は春の5番目の節気です。春分からさらに15日ほど経ち、春の深まりがより実感できるころ。桜前線が東北・北陸へと北上し、日本各地で花の便りが届く時期でもあります。

七十二候で見る清明

七十二候とは、二十四節気をさらに約5日ずつ3つに分けた、より細かな季節の区分です。それぞれに自然現象や動植物の変化を表す名前がつけられており、清明の時期は以下の3つの候に分かれます。

初候「玄鳥至(つばめきたる)」4月5日〜8日ごろ 

越冬を終えたツバメが、南から日本へ渡ってくる時期です。街中の軒先や橋の下に巣を作り始めるツバメの姿は、春が本格的に到来したサインでもあります。「玄鳥」とはツバメの古い呼び名で、その黒い羽根の色に由来するといわれています。

次候「鴻雁北(こうがんかえる)」4月9日〜13日ごろ 

冬の間を日本で過ごした雁が、繁殖地である北方へ帰っていく頃です。秋に渡ってきた鳥たちが春になって故郷へ向かう。その見えない旅路に、季節の巡りをしみじみと感じさせられます。

末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」4月14日〜19日ごろ 

春の陽射しと雨が交わり、空に虹がかかり始める時期です。冬のあいだはほとんど見られなかった虹が姿を現すのは、季節が確かに春へと転じた証といえます。清明のころの雨は「恵みの雨」ともいわれ、草木の芽吹きをやさしく後押しします。

清明のころの楽しみ方

清明の時期は、花の便りが各地から届く季節です。桜はその象徴で、清明のころには東北や北陸でも見頃を迎えます。田畑のあぜ道や川沿いに広がる菜の花の黄色も春らしい景色のひとつ。また、落葉樹林の林床に群生するカタクリがうつむきがちな薄紫の花を咲かせるのも、ちょうどこの時期です。

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食べ物

たけのこは清明の旬を代表する食材です。土から勢いよく顔を出す姿はこの季節の生命力そのもので、掘りたての香りと甘みはこの時期ならではの楽しみです。山菜(ふきのとう・こごみ・ぜんまいなど)のほんのりとした苦みと香りも「春の味」として親しまれています。よもぎを使った草餅や大福は、爽やかな香りとやわらかな甘さで春の訪れを感じさせてくれる和菓子です。

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行事

4月8日前後には、お釈迦様の誕生日を祝う花祭りが各地のお寺で行われます。花で飾った花御堂(はなみどう)に甘茶をかけるこの行事は、春らしい穏やかな祈りの場です。

また、沖縄には「清明祭(シーミー)」という独自の風習があります。墓前に親族が集まり、お酒やお重(重箱料理)を供えたあと皆でご馳走をいただく行事で、お盆・正月と並ぶ沖縄の三大行事のひとつとされています。中国から伝わったとされるこの風習は、祖先供養と家族の集いが一体となった春の節目です。

中国の清明節とは?日本の「清明」との違い

中国では二十四節気の「清明」に由来する「清明節(Qīngmíng jié)」が、祖先を供養する春の伝統行事として今日まで続いています。家族でお墓参り(掃墓)を行い、墓を清め、果物・お酒・線香などを供えるのが習わしです。唐の時代に国の公式行事となり、現代まで受け継がれてきました。

墓参りのほかにも、春の野に出かけて自然に触れる「踏青(たんせい)」という風習があります。「青(緑)を踏む」という意味で、自然とのつながりを感じながら健康を祈る習わしは、日本の花見やピクニックにも通じる感覚です。

また、唐代の詩人・杜牧(とぼく)が詠んだ漢詩「清明」も有名です。春雨の中を旅する寂しさと、遠くに見える杏の花咲く村——清明の季節らしい情景と心情が重なる詩として、中国では今も広く親しまれています。

中国では清明節を通じて春に祖先を供養するのに対し、日本で同じ時期に墓参りをする習慣は沖縄を除いてほとんど見られません。本土では、夏に行われる「お盆」が祖先祭祀の行事として広く定着しています。お盆は例年8月13〜16日ごろに行われ、元旦に次ぐ日本第二の大行事とされています。祖先の霊がこの期間に家へ戻ってくると信じられており、故郷に帰って先祖を祀り、家族が集う特別な時期です。同じ二十四節気を起源としながら、その形はそれぞれの暮らしの中で独自に育まれてきたのです。

清明を暮らしの中で感じる

清明は、春の訪れを日常の中でふと感じられる節気です。

近所の公園や土手を散歩しながら、芽吹いたばかりの若葉や春の花を探してみる。ツバメが飛ぶ姿に気づいたとき、七十二候の「玄鳥至」がふと頭に浮かぶかもしれません。菜の花や桜の枝を一輪挿しに食卓へ飾るだけで、春の空気が室内にも漂います。旬のよもぎ餅やたけのこを味わいながら、季節の移り変わりをゆっくり楽しむのもこの時期ならではです。

雨の日も悪くありません。清明のころの春雨は大地を潤し、草木の芽吹きを後押しする恵みの雨。静かな雨音に耳を澄ませながら、春の深まりをゆっくりと感じてみてください。